『月日は百代の過客にして 行き交う年もまた旅人なり』

スタジオに来てくださる方との会話の中で、僕とその方との歳月が交わるような感覚をおぼえるときがあります。
もちろん実際にすれ違ったことなどはなく、そして境遇もまったく違うのに、
そのお話のなかに入り込み自分を重ねたり。

「思い入れのある公園前の家から引っ越しをするので、このあたりでふたりの写真を」

スタジオの掃除をしているときに声をかけていただき、お話を聞いているうちにじわじわと胸が満たされていきました。
小さいお子さんにはまだ何も始まっていない無色の前途が、
大人には大人の、深い深い歳月があります。
大袈裟にいえば、そういった目には見えないものを写真に収めることができるのかどうか、なんて。

いろいろありましたよと笑うお二人のあふれる生気と当日の緑とが印象的で、忘れえぬひとときになりました。